穴居
よしおかさくら

黙り込むあなたを見習って
軽はずみに言葉を使わぬよう
恐れるべきなのかもしれない
些細な事柄も全て

退屈は限りなく死に近い
以前、死人だったことのあるわたしは
自分を守るように行動するという意識を持たない
痛みや罪についての好奇心を持つ時期が
咳払いなどの無意味なものに深く憧れた時期が
不愉快なことまでも貪らせる
早くくれ、それをくれと
激しく訴える猫を腹に穴居させてしまった
世のひとびとは
全ての不愉快な事柄から
逃げ惑っているのだとようやく認識する
そして言葉で括ろうとせずに
あなたのように賢明に行動するべきなのだろう
冷ややかな視線を受けて悲しくなるだけだったわたしも
少しずつ気づき始めている
重たくわたしを押しつぶそうとする、
空気でできた棺桶に戻りたいと思ったことはないが
腹の中の猫を飼い慣らすことができない
未だに


自由詩 穴居 Copyright よしおかさくら 2007-12-02 17:47:31
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怪物