砂一粒
サナギ

俺は砂丘をぼんやりと眠りながら歩きながら
墓標を背負って歩いている

この足の下にある砂丘
砂の一粒一粒
これって一体何だろうな

とぼんやりと考えていたら
小さな紙切れが落ちていた
開いて読んでみた


「砂一粒」

逆さまに歩いてきたんだろう
僕らは進化の道を
でなければこんなに自殺者は出ない
その数は戦死者よりも多いと言うのだから

現在も

子孫を残すこと繁栄を
破り捨てる日めくりのように
ひどく扱っていたのだから
当然の報いあるいは
果てしない許し

許し 何故なら自殺が
天国への切符ではない と
誰も言わないのだから

どこかで一番鳥が鳴き始めると
大きく寝返りを打った世界が
目を開けて
また
人を喰らう

一番に優等
一番にお金持ち
一番に劣等
一番に貧しく

それらはみな人であるという静かさの前で
空腹な黒光りする玩具達にも等しく喰らわれる

海辺には亡骸が
波に押し戻されて黙々と積まれる
まるで一粒の砂が集まっては砂丘をつくるように
だが海は何も言わない

火ばかり使うから焦げくさくすすけ
刃物ばかり使うから血なまぐさくぬめり

それでも
ぼくらは膝や肩やお互いをかき抱いて
うごめいている遠い漁火を
瞳に写し続けるだろう

日めくりの最後は十二月三十一日
地球の長い歴史を一年としたら
人類が産声を上げたのは
十二月三十一日午後十六時だと言う
文明社会はと言えば
年が明ける一秒前に満たない

ぼくらは一瞬にして消えうせるという絶望を忘れられず
次の瞬間に繋がっていくという希望を捨てられず
遠い遠い漁火を
震えるメスでもって
瞳に移植し続けるだろう

誰のため
何のために

新しい亡骸が黙々と積まれる海辺への
泡沫にも等しい贖罪のために

新しい年が朗々と明ける未来への
砂一粒にも等しい命のために


読んだ
長かった

まさかこの砂一粒一粒が命ってことが・・・
あったらすげえ嫌だ

なんかさ
地球の長い歴史を一年としたら とか
世界が○人の村だったら とか
命が砂一粒 とか
大雑把というか偉そうというか
オマエは何様だ

何かを考えさせるきっかけのための例えなんだろうが
そういう偉そうな例えからくる考えって
どうかと思うぜ

砂は砂
地球は地球
世界は世界
命は命
墓標は墓標

それでいい



未詩・独白 砂一粒 Copyright サナギ 2007-12-01 16:21:26
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