恋愛の三形態  色彩が・・・
アハウ



     青の章〜知性の風
     赤の章〜情熱の相
     黄の章〜深遠の底      
(ビデオインジェクターでヒーリング系のイメージフィルム流れる)
(海辺の荒れ果てたギリシャ神殿 大理石転がっている 二人腰掛ける) 
     青の章 Aアルテミス Dディビット
アルテミス野の花を摘んでいる遠く波音
アルテミス鼻歌を口ずさむ無心に花を摘む
D
楽しそうに 花を摘んでいるね 青い花が光りだした・・・
昼間 太陽を浴びきって チャージしたものを 冷たい夜のため
ちょっとずつ 吐き出している 
ほら ここいらが ボーと青く鈍く輝いている インとアウト
光の青い花における保存法則・・・
A
知ってるわよ なんて綺麗な花なんでしょう! 
お家に帰って花瓶に生けようって思ってたの・・・
ああ ディビットは 難しい話ばっかりね!
D
アルテミスその大理石の石に腰掛けよう
A
石は夜になると冷たいからイヤ
D
じゃ 地面にすわる?なにか轢くものを・・・
これでいい
綺麗な花たちだね・・・
赤い花 黄色の花 青い花
A
香りがいいのよ ほら
D
本当だ・・・
「香りの 滴りに
夢見がちな
アルテミス・・・
一人
名の知れぬ
海辺 さまよい 流れゆき
月の友たちも
消え
花の残り香に
涙す・・・」
アルテミス君への歌だ 受け取ってくれるかい?
A
えー! 私へ・・・歌ってくれたの!?
嬉しいけど・・・
いままでも 色んな物 色んな人から いただいたけど
歌をいただいたのは 初めて!あのー ディビット・・・
D
もっと 歌おう それは 究極の環境対策だ
「花摘み
髪に 飾り
とこしえの 
甘き香りに 包まれ

この日の月光に
抱かれ

一人 この
神殿跡に
彷徨い 来る

忘れられし 人々の
感情のごと

ああ せめて今宵!
二人して
その 古の神前にて
夢の会話 交わし
神々への
奉納の事としよう」
A
うん うん でも かしこまっちゃう!
D
ハハ 怖いもの知らずの 君でも
ここが神殿跡と思うと かしこまりますか!
じゃあ もう 一節・・・
「その 暗き物陰に」 ワー!
A
きゃー
もー ディビットたら 意地悪なんだから
あたし 泣くよ・・・
ディビットったら・・・
いや・・・
D
あっ ごめん そんな そんなつもり・・・
A
へへー 泣いてませんよーだ 
ねえ ディビット 
あなたは歌も上手 ハンサムだし 頭もいい
でも 我らが女性の知恵は侮れないわよ!
D
大地 月 星々 そして
アルテミス 君には 
野の獣が使えているんだね
ああ 僕の可愛い天使
君の前では 
己の詩文など何の役に立つというのだ
百 千 万の修辞もただ ただ 
きみの微笑が欲しいから
さあ 君よ アルテミス語っておくれ
おもいつくまま・・・
君の声で!
おしゃべりをしておくれ
わたしは それを 「永遠の本」に仕上げよう
一字一句たがわない 
アルテミスのドキュメンタリー・・・
A
フフ・・・まあ!ずいぶん持ち上げてくれるのね
今日はね!シュラクサの街へ香油を買いに出かけたわ
道すがら 一本松のところね・・・何の鳥かわからないけれど
いい声で鳴いてて その声があまりに良いので 姿を見ようと
私 一生懸命「どこなの 小鳥さん 姿 見せて・・・」て
お願いしたの「どこなの どこなの」って話しかけると
「ピー ヒョーッ ピー ヒョーッ」って答えるんだわ
もー 感激で胸いっぱい!
D
ふ〜ん それで鳥の姿みえたの?
A
それが よくよく耳を澄ますと遠くの森からも
「ピー ヒョーッ ピー ヒョーッ」!
二羽と一人と言うか・・・三個体の三つ巴の掛け合いね
「ピー ヒョーッ」 「どこなの?小鳥さ〜ン」
すると遠くで「ピー ヒョーッ」すると近くで「ピー ヒョーッ」
「小鳥さ〜ン こっちへ いらっしゃい」「ピー ヒョーッ」
ま〜 なんて面白いんでしょう 小鳥達と遊んでいる間に
すごく喉が渇いたことに気がついたの 太陽はもう南中
「これはいけない!」街へ買い物・・・
おいしいフルーツジュースが待ってる ワーイ・・・
そんな こんなで先を急いだわ
D
う〜ん ふふふ 小鳥達とひとしきり遊んで
もらったんだ・・・
ねえ アルテミス 君の名前の由来は?・・・
A
だいたい知ってるわ 狩猟が好きな 野山の神・・・
D
うん それでね アッティケー州に多いアルテミスの別号
アグロテラーと言うんだが 「野山にかかわる」という意味なんだ
また「遠矢を射さす」「遠く働く」とも呼ばれる
A
私の名前にそんなに意味があるの・・・
じゃ 小鳥達とのコミュニケーションは「野山にかかわる」
そのものじゃない!
D
らしいね・・・アルテミス 君はきっと
神々に祝福されているのだろう・・・
野山の動植物が 君を「野山にかかわる者」として
挨拶に来たのだから
A
えーっ 私 神話時代の女神と同じことできるんだ・・・
神話の記述どおりの事したんだ・・・
ヘェ ヘェー
ねえ ディビット こんな私を恋人に持てて嬉しい?
D
あー まあ・・・お聞き アルテミス君の名前の
A
もー 私の話 聞いてるのってば!
D
あっ ごめん ごめんよ
ついつい 自分の新発見にこころが向いていたから
もちろん嬉しいし 名誉だと思っている
こうなってくると 女祭司の道も考えなくちゃね
性格も申し分ないし・・・
いや性格がいいから神々に見初められたんだろう
たぶん・・・
A
なに! 名誉って言ってくれるの!
ふ〜ん・・・ちょっと嬉しいかも!
名誉・・・名誉ねぇ〜 ふふふ!
D
アルテミス聞いておくれよ・・・
君が示した 神々の奇蹟!
長らく我々から 遠く忘れ去られた奇蹟が
君 その名も アルテミス 
君の体に具現しているらしい・・・
この事実!
我々は夢物語のようなこの事実に出会い
君と私はそれを目の当たりに・・・

ピー ピー ヒョーッ
ピー ピー ヒョーッ
A
あっ 小鳥達が呼んでる
D
こんなに 暗くなってから!・・・
確かに小鳥の声がする!

ピー ピー ヒョーッ
ピー ピー ヒョーッ
A
小鳥さんたち!
こんなに暗くなって!
私たちが心配?・・・
ありがとう!

ピー ピー ヒョーッ
A
もうお家に帰るわ!
大丈夫だからね!

ピー ピー ヒョーッ
A
いい香油が買えたの・・・
ほら!
こんな薫り・・・

ピー ピー ヒョーッ
A
小鳥さん・・・
もう帰るの・・・
もっと お話しよう

ピー ピー ヒョーッ
ピー ピー ヒョーッ
ピー ピー ヒョーッ

       赤の章 Aアルテミス Mミゲール
二人の感情的高まり 波音 激しく・・・
(観客席側からサッカーボールほどの赤いボール投げ込まれる)
A
ウフ フフ・・・フフ・・
M
アルテミス!  アルテミス!  どこだい?
A
い・と・し・い・・・ ミゲール!・・・
ここ・・・ ここよ!・・・
ウフ ウフ・・・ここよ ミゲール・・・  (雨音フェイドイン)
M
神々では 在るまいし 姿を見せておくれ!
私の ああ 私のアルテミス・・・
昨日 会ったばかりなのに
君といない時間の 何と空虚なことよ!
かたや君とのいっしょの時間の
消えるように過ぎてゆくことか!
それは・・・一目ぼれ・・・
遠く 東の空に暗雲が かかった・・・と思うと・・・
見る見る間に 土砂降り・・・
青き閃光が 光る 光ったのだ
そして 私は打たれた・・・
この古びた神殿 雨宿りの場所で・・・
君の瞳に
そしてこの豊饒の夏の驟雨に・・・
A
そう ここね 私も同じ 大地が揺れたわ・・・
この気持ちを どう処理していいか わからず
取り乱した 私
M
そう ここだ まさに ここで私の人生の軌跡は   (遠雷 雨音フェイドアウト
この雷鳴のごとく 音を立てて 変わったのだ     虫の音フェイドイン)
人も 通わぬ 神殿跡・・・
ああ 夏の虫たちが 集き 集きつ・・・
つわものどもの 夢のあと・・・

A
真夏の夜に見る夢に
昼間の喧騒は 道を譲る
私たち・・・
恋に燃え上がる二つの魂
M
ああ この恋の熱で
この体 燃え尽きそうだ
喉が渇くほど 体温が上がる
鼓動は ただならぬ事態の予感で鳴り止まぬ
アルテミス 手と手を合わせよう
君の心をダイレクトに感じたい!
A
いいわ ミゲール
それは 魂が一つになる瞬間だわ!
ほら こうやって・・・
M
ああ アルテミス・・・君と出会ったんだね・・・
A
漆黒の暗い宇宙 赤々と輝く
二つの存在が 近づきあるいは遠のき
スパイラルを描きながら 宇宙を 漆黒を飛び続けるわ
M
さながら 二羽のなか睦まじい鳥たちの 飛翔のようだ
太陽のような恒星が輝く まったく無音
黄金の軌跡を残して 二羽が・・・いや二個体が
恒星天を飛び回っている
A
今 会ったばかりなのに なごりを 惜しむようだわ・・・
M
ほらもう 恒星がちいさな輝きに近づいた
他の恒星たちと もうすぐ 見分けがつかなくなる・・・
A
わー 何 この眺め!
M
我が 親しき恒星系よ・・・
アルテミス・・・
A
ミゲール・・・
なんて 私たち 相性がいいんでしょう!
M
ハッ ハッハッ アルテミス スリリングだ!
雷のインドラの計らいか これは!
ハッ ハッー
A
二人のメディテーション・・・
M
悠に この母星系を 飛びまわれる
ああ 二人して飛翔だ 遠く 遠く
冥王星の果てまでも・・・
A
それにしても 何と さわやかな海風なんでしょう
髪が 風に揺れる
あなたの頬に 触れると
あなたの その 近さを 感じる
この 漆黒の宇宙 
限りない星々の 島宇宙に・・・
たった一人で
孤独で 寂しい 魂が
時の旅を 続けている この宇宙が滅びるまで・・・
ああ 私 永遠に 一人ぼっち・・・
そう思ってた・・・
ねえ 髪が
潮騒に揺れてる
そして その 髪が
あなたの頬に 触れる
ああ こんなに 近くに
手を伸ばせば
あなたに 触れる
見て 天の川が 綺麗
宇宙がどんなに 広くても
私は 今 その宇宙を この手で
抱きしめられる
ミゲール・・・あなた! 
あなたに 抱きしめられたら・・・
成就する!
A・M
あっ 雷が!               (大きな落雷の音)
M
雨が! 雨が 降って くる・・・



     黄の章 Aアルテミス Jジョアン
    波の音 遠く サンシンの音 二ライカナイ・・・
    夜更け 虫の集き 伊原間(いばるま)石垣島の地名
J
静かな 夜がいつの間にか・・・忍び寄る  (炎の燃える音)
遠く 見える街にも この神殿にも
深い 深い 帳がおり
アルテミス 君の心の中にも
今日 一日の物語を終わらす
天の闇・・・天幕が 静かに 静かに 
降りてくる
A
今日 一日 
どんな日を過ごしたか・・・
悔いなく 一日を 終えたい・・・
ちょとした 満足感が 疲れたからだに満ちて
満ち足りた心のひだが 私を包み込む・・・
ああ もう眠りが近い 
そう 思うわ
J
アルテミス アルテミス もう 
眠りに落ちた?
この 焚き火 見てごらん
A
パチッ パチッ 木の はねる 音
そして 炎は
二人の魂に灯った 火のよう
近づけば 暖かな 波動
希望のように
私たちを 照らす
J
この 赤々と燃え立つ 炎の
一瞬 一瞬
この 炎の 外輪は 
とどまる事を知らない
外輪は 消えては 現われ 
また 消えては 現れ・・・
瞬時 瞬時
生成と消滅を
せめぎ合うように
繰り返す
繰り返している・・・
A
炎の光に 善を見
周りの暗闇に 悪を見る・・・
私 炎を見ていて うっとりしている
熱と光の暖かな 波動が 私を 包み込む・・・
J
人知れぬ神殿の 静かで神秘的な
夜の底への 旅・・・
晩夏・・・炎に照らし出される
二人の影
ああ・・・炎のあるところ
善と悪の戦場か・・・
アルテミスはそんなこと 考え付くんだ・・・
A
いいえ 私 今 ちょっと 意識が・・・
眠りに 落ちる前に あるでしょ
ウトリ ウトリ してる・・・
まるで猫みたい・・・
眠りと覚醒の間
まどろみ 深い 思いの底の底
J
ああ 一日の終わり
眠りに落ちる ほんの少し前の
まどろみ・・・
A
そう 一日の印象が
喧騒のごとく流れて
いい事も いやな事も
私の意識が 思いの底に
到着するまで 流れ続けてる
まるで 深い海に 潜水を続けるように・・・
J
その 底の底に うまく着地できるの?
A
大体はうまくいく
でも いやな事なんかが 多い日
許容量を 超える日は あるわ・・・
J
うん・・・
A
そんな日は 
ことさら 強烈なイメージが見える
まるで モンスターが 次々 襲い来る
過剰なイメージの連続
まるで 修羅界の命
そんな 命も私の中に 確かに 在る
確かに・・・
J
そんな 時にはね!
A
いいわ 待って!
そんな 時には「ああ また嫌なイメージの所
まあ 気にせず 通り過ぎましょう」って
「また 出たのね 修羅界の命・・・」
まあ・・いいかって
J
そうそう
A
そうなの! 気にせず やり過ごす!
イメージが押してきたら・・・
合気道の型みたいに 流れに逆らわず
軽く 流れを変えて 身を避ける!
そして 己の前進あるのみ!ってね・・・
J
いや そうそう そこまで 来ましたか・・・
随分 大人になったね!
アルテミス・・・
もっと近く・・・
A
やっぱり 私 少し眠い・・・
J
さあ 肩にもたれて 楽にしなさい         (波音大きく サンシンの音
A                         フェイドイン)
うん 自分の息が 心地いいリズムで 聞こえる
遠い 潮騒 吐く息 吸う息
おやすみのリズムが 光の届かない深海 深く
白く発光しながら 降りてゆく 深く 深く
J
ああ 潮騒 遠いリーフ 白い波頭 海風
聞こえてくる サンシン 風音に混じる
二ライカナイ 太陽がまぶしい
人気の無いビーチで 二人 木陰にたたずむ
見渡せば 青い空 白い雲 エメラルドの海
おやおや 眠気が 移ったらしい・・・
A
ジョアン 私 底の底に 着いたわ
暗闇のなかに 満天の星 天の川
サンシンの音が 聞こえる 海辺
風 リーフ 二ライカナイ
J
そこ 伊原間(いばるま)の海?
消防署あった?大きいデイゴの木ある?
A
まってて・・・
うんあるみたい
でも 夜よ
J
ああ ぼくの イメージも
夜へと変った・・・
二ライカナイ
漆黒の宇宙(そら)に巨大な銀河が渦巻いている
A
潮騒 二ライカナイ そして私たちの銀河だわ
J
この スペースエイジの見る夢は・・・
A
ここ伊原間湾から出発ね!
J
宇宙へ 宇宙へ 乗り出そう
リーフの外海へ 乗り出すように
A
ええ 私 眠気が・・・    (波の音 サンシンの音なり続けて・・・ 
                フェイドアウト)




未詩・独白 恋愛の三形態  色彩が・・・ Copyright アハウ 2007-11-30 00:52:33
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