自転車の唄  
服部 剛

最近運動不足だったので 
行きも帰りも 
家と駅の間を歩き 
めっきり乗らなくなった自転車が 
ある冬の日の玄関で 
肌寒そうに置かれてた 

( 今日は休みだたまには乗るか ) 

いつぞや誰かのいたずらで 
かごを取られて 
骨組みだけの自転車は 
久しぶりにペダルを踏むと 
ぎしりぎしりと鳴りながら
ぼくの疲れた尻をサドルに乗せて   
すいすいすいた道をゆく 

風をきり 
自転車とひとつになったぼくは
懐かしい唄をつぶやく 

( うたをわすれたかなりあは ) 

いつのまに 
こころに奏でられる  
おるごーる 

サドルの下の自転車は 
自分を思い出すように 
走る喜びみなぎらせ 
すいすいすいた道をゆく 





自由詩 自転車の唄   Copyright 服部 剛 2007-11-29 21:46:04
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