咬みつきたい
よしおかさくら

空の青い昼間
緑が泳ぐ風のなか
メキシコの風の神様が見ていた
あなたの喉は
無防備に剥き出しだった
咬みついてもいいかと問うて
答える間も置かず
甘噛みした
あなたは声を上げなかった
わたしをちいさな猫のように扱い、
乱暴に頬を撫でた
わたしはあなたに
飼われているのかもしれなかった

咬みついてもいいかと問うて
答える間も置かず
がぶりと
唇に咬みついた
あなたは何も言わなかった
何も言わずに
咬みつき返したのだった、
ひどく優しい吐息で


自由詩 咬みつきたい Copyright よしおかさくら 2007-11-29 20:28:43
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