街明かり

夕暮れが泣いているのだろう

高台から見渡す街の灯が
救いが無いほど光って見える
大勢のひとりが積み重なって作られた明かりだ

しばらく茫然とそれを眺めた後で
僕はただ静かに下りていく
帰らなくてはならない
その場所はなくとも どこかに
僕は帰らなくてはならない


夜に浮かび上がる
コンビニのかけら

新しい声がどこかで生まれて
僕の耳をすりぬけて去っていく
そこにもきっと振動があって
遠い場所で誰かの心臓を揺らしたりするのだろう


アパート前の街灯の下
立ち止まると
冷たさばかりが強調されて
指先まで通った熱の存在が
不器用な嘘のように照らし出される
そして相変わらず 風の音は聞こえない


光ることを忘れた人達が
また 静かに眠りについていく
無造作にドアを開け 
そして閉じて 
僕もそれに加わる
明けていく夜に追いつけるだろうか

この部屋の窓から零れる明かりに
ほんの少しの祈りを込める
しまえなかった小さな鍵を
確かめるように 握りしめて



自由詩 街明かり Copyright  2007-11-28 22:15:10
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