S.O.S ———この星が落っこちる前に
佐野権太

爆弾が墜ちると
デマが流れた街で
警報に追われ
バンクするカーブを走った
この街の建築は
爪先から斜めに削れていて
鋭角に尖った
笑みを浮かべている

濡れた雛鳥の翼
抱えて
ひとり点滅する僕は
傾いていないと
立っていられないから
泪はすぐに溢れてしまう
きっと誰もが正しくて
誰もが間違っている

辿りついた隠れ家
誰もいなくなった静かな街で
セロファンの飛行機
君に届くように

あのジャングルジムの上で
空と交信する
そこだけが
つながっているから
金色の船にのって
いってしまった
セラミックブルーの瞳

そこから何が見えますか
そこから海は見えますか
セイブ・アワ・ソウル
セイブ・アワ・ソウル
黒い点が
回転しながら降ってくる







自由詩 S.O.S ———この星が落っこちる前に Copyright 佐野権太 2007-11-28 11:20:36
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