神話弐
はらだよしひろ

(笑いに隠れた笑いが
私の笑い)

どうしてこの道なのか
花は空から伸びた手に向かって
口を開けている

私は守られていない
だが私は産み落とされた

体の奥に染み込んだ
遥かなる過去を思う

蛇神を背負った心を生きる
女として
顔に皺をいっぱい寄せて笑い
心と言葉を殺された宿命から
私は生を受けた

息を止めて生きろと沈黙した人々に
私は可憐な花を添えたい

けど

私には言葉が無い
私には感情を彩る熱い血が無い

青い血

そう

青い血

誰か!

私に流れる青い血を言葉にして!
誰か
私に流れる青い血を感情にして!

叫びたい
けど、私には叫ぶと言う言葉が無いのだから!

私は言った
「私は京子です」
私は口から音にして言った
「私は京子です」
でも、私には言葉が無い

息を止めて笑っていなければならない私が
息を伴う言葉を発することはありえない

私は京子です
私は京子です




自由詩 神話弐 Copyright はらだよしひろ 2007-11-28 00:07:56
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