逃げ雨
唐草フウ

あめよ逃げないで
白々しく霧、すとおむ。影ない静かすぎてこわい
炎よりもゆらぐゆらゆららいあい今あいされない

この胚は縮こまっている
この肺は誰にすくわれる

ツェロの弾く音だけが
剣を惹きざく音だけが

何かがはじまる夢を見た
それはとてもこわかった
変われないと信じているのかだなんて
それだけじゃないことを知っていて訊くの

あめさえも逃げてゆく
ばいばいを、ピアニッシモの音で
きれのある動きで
サッササッサといえないまま去っていくなら
きずごと持ってこのくちびるごと縫っていけ

ああ あめがふれば
あたたかさに甘えずにすむのに
ああ 冷たい雨が降れば
ちぎれるからだがわかるのに




自由詩 逃げ雨 Copyright 唐草フウ 2007-11-27 15:32:04
notebook Home 戻る