髭剃り
たもつ

父の髭を剃る
一週間たった柔らかいのを
電気で剃るのは難しい
首など歯のあたりにくい所は
よく伸びる皮をひっぱて剃っていく

その薄くなった皮膚の下に
赤くて細い血管が透けて見える
このように人は
透き通っていくのだと思う

父も口を上下左右に動かして
よく協力してくれたがやがて
疲れた、という一言で
終了となる

教育には何かと厳しい人だった
教えてくれたことのいくつかは
教えてくれなくてもよかったはずだ



自由詩 髭剃り Copyright たもつ 2007-11-26 21:00:19
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