確かにここか
佐々木妖精

泣き叫べるほど幼くもなかった
そんな時
お金を入れずにガチャガチャを回す
空回りしないハンドルは
鉛筆を握れなくなった腕を手元へ戻し
確かにそれが自分のものなのを確認でき
別の世界から右手が戻ってきたと
安堵する



楽しい時
今も昔も決まって世界を積み上げる
空想の中で積み木はロケットになり
ティラノサウルスにもなる
算数の時間によく
別の教科を学んでいたのも覚えている
1はイチという音で×はカケルと読む
漢字とはまるで違う絵
掛け算の中で
月の満ち欠けに神秘というものを感じ
スイッチで月を丸くしたりブーメランにしたりする仕事があって
大きくなったら
その仕事に就きたいと





時間は流れることなく断続的に進む
俺はなりたい仕事に就く瞬間を逃した


自由詩 確かにここか Copyright 佐々木妖精 2007-11-24 23:27:06
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