過ぎていく時間
風音

時計の針が走り続けて
止めることはできない。

こうやって
パソコンに向かっていても
眠っている間も
ぼんやりしていても

どんなことをしても
時間は過ぎていく。
時間は止まってくれない。

けれど
止まらない時間も怖い。
時間がこわい。

思い出なんて
作ろうと思わなくても
時間とともに思い出に変わっていく。

わたしは何が言いたいのだろう。

時間って時に貴重で
取り返しのつかない「時」があるって
いいたいのかもしれない。

あの時
もう一度親友に電話をかけていたら、
自らを亡くすことなく
今頃はまだ笑って話をできていたかもしれない。

あの時
雨どいから手を離さなければ
レイプなんてされなくてよかったかもしれない。
あの雨どいのざらざら、
錆びた雨どいを握ってしがみついた7歳の私。

あの時
「もういや。やめてください」
といえば
続いた虐待も早くに終わりを告げたかもしれない。

あの時。
あの時。

たくさんの時が動いて
今も
こうやって秒針が動いていく。

時々耐えられない、と思う。
時々早く早く、と思う。

私が生きている間も
死んでしまっても。
時間が動いていく。

時間。
それぞれのひとたちの
貴重な秒針が
今日も動いている。




散文(批評随筆小説等) 過ぎていく時間 Copyright 風音 2007-11-23 17:00:11
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