根っこ
リーフレイン

 若い苗木を植えるときは、上の枝をはらうだけではなく、木の根っこもかなり切ります。細かいヒゲのようになった毛細部分は一度 土から離してしまうともう力がなくなり腐り始めてしまうからで、新しい土に新しい強い根が生え伝うように古いものをあらかじめ切ってしまうわけです。それに呼応するように苗木の上の枝もかなり切ります。養うものを少なくしてやって負担を軽くするためですが、ほとんど棒みたいな状態でもなんとかなるものなので、およそ生命力とは物凄いものだと感じます。

 人間の根っこはどういうもので、何を吸い上げているのかなあと考えてみると、さあ、よくわかんないんですが、喜びかなと思ったりします。
単純に良い睡眠をとる喜びとか、美味しい食べ物を食べる喜びとかから始まって、人と交わる喜びとかなにかに満たされた喜びとか、達成感とか、美しいものに触れた喜びとか、目に耳に体に心に満ちる喜びを吸い上げて育っていくのかなと。。

 常識とか、概念とか偏見とか世間とかは、もしかして古くなって腐り始めた毛細根にあたる場合もあって、そういうものにあんまり囲まれていると、純粋な喜びを吸い上げる力が落ちてしまうのかもしれません。

 およそ根っこが一番力強く伸びるときが、自らが水を養分を求めて新たに地中へ這い出すときであるのと同じように、人間も自らが求める瞬間を大事にしたいです。


散文(批評随筆小説等) 根っこ Copyright リーフレイン 2007-11-22 22:48:51
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