グールドを聴きながら
よしおかさくら

グールドを聴きながら
思い出す
自分が何者なのか
わからなかった頃を

毎日は
決まりきったルールで進み
それに合わせているだけでよかった
楽だったのだ
たぶん

余計なことを考えていた

生きている意味
笑うことの嘘

わからなくなって
暇潰しをする

グールドは
二枚目を気取っていた
それがおもしろいのだと
彼は云った

暇潰しに縋りつくのをやめても
自分が誰なのか
わからない

もう少しで道は開けると
いつも思っていた
何が自分を変えるのか
心待ちにしていた

変わりはしない
自分で自分を作るのだ
グールドは自信たっぷりなんだ

ピアノの音を聴きながら
思い出す
何者でもない自分を


自由詩 グールドを聴きながら Copyright よしおかさくら 2007-11-22 19:46:27
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