夜の街 枯葉と虫と男
まどろむ海月




   ワるつ

暗い モン・マ%#*:〜の丘に立つ
やせた木の
枝から離れた
一枚の枯葉が
静まった 晩秋の街路を
からからところがる

遠い向こうで
猫の影が走ると
(そいつはシャム猫に決っているんだ)
枯葉はびっくりしたように
空中に舞い上がって
くるくるっとワるつをまったりする!



   虫

街路の石の隙間を
虫は歩いている
背に負った
やぶけた うすい
はーぷのようなはねを
こすってみると
むさい音が
虫の心をすっかりくさらせる
『おれの歌もうたい終った・
そおして虫は
初めて 顔をあげ
冬の気配の感じられる
夜空の上に
なつかしい 秋を想う



   マスカレード

街路のかなたから
けたたましい音を立てて
若者たちを乗せたおーぷんカーがやって来る
ピエロンのように派手な色を 車にも顔にも
塗ったくった彼らは らっぱをひっぷいたり
女の子にきすをしたり笑ったりで あれで
なかなかいそがしいんだ  ひとりが危うく
車から落っこちそうになると 大きなお手々
広げて どこかの大人にあかんべェをする
とにかくなんだか たいへんな勢いで
遠くでひらかれているという
ますかれーどに向け
 車が走り去り
 夜の向うに 消えると
 街はまた
 ばかみたいに静まった

  がらんとした
  ビルの4階で
  男が
  町はずれの
  暗い海を見ている
  ちろちろ
  波のロンドが光り・・・
  口から離した
  煙草の
  灰をおとす
   落下して
   石の上で
   くずれた
   音に

おもいがけなくも三つの
視線が合った















自由詩 夜の街 枯葉と虫と男 Copyright まどろむ海月 2007-11-19 15:37:51
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