孤独とわたし
よしおかさくら

肩を叩かれて振り返ると
孤独が立っていました
なにか用かと聞くと
なにも言わずに
後ろを向いて座りました
そこでわたしも孤独の隣に腰をおろしました

しばらくすると
雨音がやってきました
頬に降りかかったので
雨が寄り添っているのだと気づきました
わたしは孤独に向かって寒くはないかと聞き
また沈黙で返されました

わたしは孤独を放って
陽気や情熱のところにでも行こうかと思ったのですが
孤独がなにも言わずにわたしを見送っていることに
気づいてしまったのです
孤独を置いて行くことはできませんでした

今日も
夜がやってきて
蒼い顔をした小さな月を
空に歩かせます

その月を見上げて
ようやくなにかを話し始めようとする孤独を
わたしはそっと盗み見ています

孤独は孤独でいることをやめて
陽気のようになるだろうか
情熱のようになるだろうか
わたしは少しだけ楽しみではありましたが
孤独は二言、三言、転がしただけで
すぐに話をやめてしまいました


自由詩 孤独とわたし Copyright よしおかさくら 2007-11-19 14:41:03
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