遠隔催眠
狩心
抽象画の中で生きる者達よ
もう思想はいいから 具体案を見せてくれないか
あなたの身体感覚は 世界の果てまで続いているか
まさか身近な人々の素肌にさえ 触れる事ができないなんて言わないだろうね
孤独なんて言葉は聞き飽きた 歌もダンスも役に立たない
自分を見せる 思想を提示 そうやって世界が 閉じていくんだろう
ある一定のレベルにまで達した者達が 外界と自らを切り離す
まさか自分が宇宙だなんて 言わないだろうね
さて、まずイヤホンのボリュームを最大にして、鼓膜を破裂させてください
鼓膜で聞く音がなくなって、骨に振動する音、静寂との対比です
前頭葉の辺りが、ビビビビビって頭痛し始めます
目の充血、肩こり、背中の硬直、腰痛、そこら辺から運動不足を感じ取ってください
鏡に向かってニコッと笑った時に、顔が引き攣っていたら、危険信号です
指先と顔面の皮膚で会話してください、頬骨の辺りから目尻、米神へと指を進ませます
その時に足音が聞こえなかったら、割り箸を目に付き刺す事をお勧めします
段々美しい顔になって行きます、五感があった時よりも、感覚が冴え渡ります
不思議です、人々の手は蒲鉾でできています、魚に突付かれて、縮小して行きます
蒲鉾の原材料は魚のすり身ですから、共食いですね
丸められたボールから、毬藻のように毛が生えて、その触覚が、目の代わりをしてくれるでしょう
ボールを蹴ってドリブル、ボールを投げてキャッチボール、沈黙との対比です
途中休憩でトイレに行く時、ドアを開けっ放しにして、泥棒に物を盗ませます
部屋に戻った時に、何が無くなっているか、あなたは気付くでしょうか
乱雑に散らかった部屋で、途切れ途切れの記憶を辿ってください
時代を反映したビニール袋の中に、要らない記憶を放り込んで、燃えるゴミで出しましょう
階段で降りる事はせず、青空の見える窓から、地面へ投げ捨てましょう
道を走る車から手が振られたら、恋が始まるサインです
裸足のままで飛び出して、道に辿り着くと、誰も居ない事に気付くでしょう
いつの間にかあなたは、外に居る、ほんの五秒前の自分では考えられなかった事です
洋服を投げ捨てて、太陽の光を浴びてください
遠くに見える煙が、誰かの指先です
パントマイムはもうしません、鏡の前で練習する事もないでしょう
上を見上げると、開け放たれた窓に、イヤホンをして、割り箸を目に付き刺している人が見えます
あの人は誰でしょうか、でももう関係ありません
個々に戻る事は、もうないのですから
焼きそばを鼻から垂らして、口は意図で縫い付けておきます
被爆した皮膚をズズズと引き摺りながら、今日という日は、晴れやかです
電気マッサージを受ける時間が、刻一刻と迫っています
一緒にメリーゴーランドに乗るチケットは、あなたに届いたでしょうか
わたしとあなたは右側の自分を痛め付けています
左側の自分は透明になって、もう何処かへ行ってしまったようです
信じてください、わたしはあなたの傍に居ます
わたしは、わたしの中に居ません
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狩心 no まとめ 【 四 】