とんび
麻生ゆり

1
また、やってきた
あの苦しみが
たった一人きりでいるときに襲ってくる
不安と恐怖が
心臓は早鐘のように脈打ち
呼吸は荒波のように激しい
それらの根幹は
「孤独」にある
それがなぜにこんなに私を苦しめるのか
わからない…
理解できないものに
私は怯えている
誰か助けて、と
泣きながらうったえても
聞いてくれるのは
ただの枕だけ
ただの毛布だけ
ただの…

2
私はとんびになりたい
上昇気流とともに
ぴーひょろろー、と鳴く
とんびになりたい
彼らのように
たった1羽でも強くたくましい
とんびになりたい
たとえ雨が降っても
ときに雪が降ってきても
とんびになりたい
ときに自分のためでなく
その子や連れ合いのために飛ぶ
とんびになりたい
私もそう
誰かの役にたつために
とんびになりたい

3
ああ、どうか神様
これまでたくさんの命で
生きながらえた私に
サソリのように光り輝き
永久(とわ)に消えることない炎をもち
誰かのためになる
とんびにしてください


自由詩 とんび Copyright 麻生ゆり 2007-11-18 23:25:27
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