百年樹
LEO

ちいさな雲を
いちまい、いちまい、風が縫って
空に真っ白な衣を着せている

あそこへ往くの?
問いかけても
もう動かない唇は冷たく
ひかれた紅の赤さだけが
今のあなたとわたしの今を
繋げているようだった

人と人の手が手向ける花々で
あなたは四季の色に飾られていく
わたしといえば
空が上手に模様を描くから
ずっと遠くを見たままで
あなたのために
何かひとつをさがして

あなたの生きた年月は
大きな大きな木のよう
多くの枝を伸ばした証に
たくさんの花をつけ実を結び
それらあふれる涙で
扉は静かに閉じられた

最後にみたあなたの紅と同じ色
陽にかざした手にも
継がれたひと筋は
わたしの中にも流れて
ありがとう
言えなかった言葉
届けばいいと
空の白さ仰いでいる


自由詩 百年樹 Copyright LEO 2007-11-18 23:19:34
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