11月のワイン
北大路京介
君の仕事が終わるのをずっと待ってて
ふたりで買い物に出かけた
“今年のワインは美味しらしい”って
ボジョレーとチーズを探した
知識も教養も君が上だし
任せてしまってるけど
ワイングラスの向こうで 桃色に灯ってく
恋の香りは いつか 忘れてしまうのかな
テレビをつけずに 君の好きな曲
スピーカーからいつまでも流れた
あの日の夕飯は クラッカーとチーズと
君とのムードで満ちてた
好きでしょうがない 触れたくてしかたない
触れられるのはグラスだけ
乾杯でグラスが鳴って 紅い波が揺れている
恋の香りを いまも 覚えているのかな
ワイングラスの向こうで 微笑んでた人は
落ち着いてしまったかな 熟成してるかな
5年前のワインは 今も手に入るかな
口にすれば今も 甦ってしまうかな