World's End Scratch Wound.
やまぐちふぢ子

その痕は

痛いほど澄みきった
マイナス42℃の夏空を覆う豪雨のよう



歪みきり揺れては
捻れ滲んだピンク色の粒子


埋め尽く
された聴覚は光化学スモッグで視るアリゲーターの白昼夢


わざと暈したフォーカスの前


おろした瞼の裏側の
視覚の帳は綿菓子製のタぺストリー



その跡は



規格外の恍惚
と偽りの優しさ

もしくは合成甘味料と
赤色1号


掻き消されたロマン派の夢






なりやまない胸騒ぎは


永遠に続くドラムロールと
ファンファーレ。


ねぇ、
愛はなくても。
こんなにも美しい世界は回る こんなにも素晴らしい世界は回る。

ね ぇ、
たりない愛なら、

そのあとに、引っ掻き傷で塗りつぶ す。


自由詩 World's End Scratch Wound. Copyright やまぐちふぢ子 2007-11-18 12:17:14
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