引力
はな
ゆびわに
そっと磁石をちかづける
朝
ななめのばしょで
かたむいた空にみみをつける と
ゆびさきから
そまる
淡いあさやけのいろで
誰も彼も
うすまってゆく
呼吸も
声も
時々
両手を離して
まぶたのむこうを 想像してみる
あかい光に、そまる
せかいに
もしも
へんなふうに、まがってしまったら
あなたにちかづけ
方位磁針を
くる くる まわして
もとの距離に もどそう
地に足をつけ
まばたきをして
かざむきがすこし変わり
あなたが
引き寄せる
ゆっくりと果実が落下する はやさで
にじんだ街のりんかくに
光がゆれて
忘れないために
そっと
頬にふれる