憑依
紫音

其はまた喰らう

其は吾
吾は其

其は原初より
吾に纏いて
また
吾は原初より
其を纏いて

喰らう
尽きて果てるまで
其は飽きることなく
止むことなく

其は吾
吾は其

不可分にして不可逆
また不可侵ならず
歩む毎止まる毎
其はまた喰らう

陰鬱なる沈降の果てに
吾と其は融合し
其は吾を侵蝕し
連綿と続く断絶の連続

嗚呼
月はまた失いし時を照らし
其に成り果てる吾を嗤う

嗚呼
日はまた果たされぬ時を隠し
其を纏いし吾を嘲る

其は生を制し
吾は死を征し
際限無い奈落を求め

路頭へと延びる其
抱えし原罪
其は吾を求め
吾は其を求め

逝き果てぬ仄暗い底に
連綿と伝う衝動

其は吾
吾は其

吾を喰らいて
其は吾となりて

やがて訪れる闇に
吾を手を差し伸べ
其は吾を差し出して


自由詩 憑依 Copyright 紫音 2007-11-14 23:51:14
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