まどろっこしい
紫苑

今日も君と騙くらかし合い

きっと君の名前は僕の来世の恋人の飼い猫の前世の名前だね
なんて言ったら
僕の名前はメトロノームの親戚に違いない
なんて言ってくれたね
仕方がないから聞こえなかったふりをして
時計の中に仕舞ってある親戚を取り出して
ちょっと親しみを込めて螺旋を巻いてやったら
不満をトレモロで言い出すもんだから
愛着が湧いて親戚っぽい名前をつけたやった
お返しはそれっぽいベルの音だった

昔よりも僕の事を観察するようになったくせに
彼女の目は僕を網膜で反転させる気は0らしく
振り返る僕に角砂糖の四角さについて語りそうな顔をしてて
カードNo.12の僕の健康面はどっちでもいいらしい
そろそろ地球上の林檎に喧嘩が売れそうだ
と暗褐の水色を舐めたら
林檎は一文無しだから買えないよ
と席を立つ
林檎にいささか失礼だろうに

君を家まで送って子供から大人まで支持される
喋らなくてもいいさよならの仕方をする
彼女はやっぱり僕を吊ったまま「またね」と言って
僕と同じさよならをした
帰り路僕は彼女の次なる名前を考える
「またね」とまたそんな日が来るのを疑わない彼女だ
もっと似合う名前を「またね」までに考えなくては
仰いだ空に降る一番短い波長は僕にはもう届かなくなっていた

今日も彼女は嘘を吐いた
今日も僕は1つだけ本当を言った
いつそれが嘘に変わるか
その時僕と世界を反転させるか
今日も僕と騙くらかし合い
笑えなくなった方がハンプティ・ダンプティ

ああ、明日もメトロノームの親戚に違いない


自由詩 まどろっこしい Copyright 紫苑 2007-11-14 22:27:49
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