ひより
恋月 ぴの

自慢話うまいひとって羨ましいな
自分のこと話したくても
つい口ごもったりして

自信が無いだけなのかな

たとえばカラオケに行っても
わたしの番になると
他のひと達世間話なんかはじめたりして
わたしって音痴なのかな
ひとり画面に向かって歌い続ける
ちょっと寂しさ感じながらも
微笑み捨てずに歌い続ける

下手ならヘタクソって言ってくれれば

今朝の通勤電車
人身事故で止まってしまった
誰かが何かから逃げたくなって
ぺちゃんこになること選んだのかな

どうしてだなんて誰ひとり気にもしない
気にするのは会社に間に合うかどうかだけで

たまには聴いて欲しいよ
わたしの小さな自慢話
くだらないと思うけど誰か頷いてくれるかな

ぺちゃんこになった誰かの遺体
いつのまにかきれいに片付けられて
素知らぬ顔の通勤電車ごとんごとんと動きだす





自由詩 ひより Copyright 恋月 ぴの 2007-11-13 21:49:19
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