透明だけど、在る
ku-mi

黒板の粉が
午後の日差しの中で踊ってた
あたしもその消された文字の一粒で
キラキラと笑っていたんだ

ブラウスの隙間から
風がこぼれないように
37℃の痛みを飾って
眼鏡越しに見える世界には
モノグラムのような詩を飾った

どこまでも伸びてく夕暮れの影
ふたつ並んだら
今にも墜落しそうな空

短い爪も短い前髪も
あたしを無力にする
足りない傘の数
満ちてく河川のそばで
君の名が溺れていた


あの日の、帰り道のこと




栞からひらいた古い記憶
消えかけた文字の一粒にあたしがいて
はにかみ笑った、午後の日差しの中。


自由詩 透明だけど、在る Copyright ku-mi 2007-11-11 10:25:37
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