「嘘ひとつ」
菊尾

密接に造り上げられた景色も
回転速度をあげたなら
すぐに抽象的になっていく

ぼかして
ぼかして
気持ちに素直になればなるほど
薄め方を探している

適度な距離は
何メートル?
すこしでも離れられれば
それは幸せなこと
切ないけれど、幸せね。

声にならなかったんだ。
誤魔化すように僕は

あの日、嘘をついたよ。

本当は
きみの事がね


自由詩 「嘘ひとつ」 Copyright 菊尾 2007-11-11 05:16:48
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