明けて
木立 悟
風から来る音
歩むもののまわり
色を結うひとり
こだま かこみ
うしろのこだま
触れることなく
浮くかたち
雨が起伏を均し
地の光は消える
ひとつがひとつへにじむ
つながろうとする熱は無く
離れたものに応えている
曇 坂おおう
曇
消そうとするのは 現われるから
消しようもなく
そこに在るから
火と光は近くなり
誰もいない道を燃し
煙は
道のかたちのまま空に着き
朝を朝にする
明るさの柱
水へ水へと傾く柱
人のかたちの洞と風
指は指から遠去かり
洞の向こうにひらく青
静かに振られる腕の青
数え切れないものを数える
水の上の小さな声
あるがままのうたになる
限り有るもののうたになる