プラス十万字
佐々木妖精
セックスは小さな死だという
それならばこれは
五万字の熱情がこもった
劇薬による死だ
女は出産することもできるが
男は排泄しかできない
その事実に
絶望一歩手前の劣等感を抱き
せめて排泄物をこね回し
太陽の塔を創り
体系的な哲学を構築し
組織を形成して
仕事に埋没でもしなければ
生き物として劣っているのを
意識してしまう
彼女たちは
腹筋が五回や十回しかできないのに
俺たちより長生きする
それを意識し続けるのは
目の覚めない明日を延々繰り返すのと同じで
おじさんは疲れ切っていて
肩の上がらない疲労の中で
頭を下げているのだから
あまりイジメないでやってください
一千と二十万字排泄したことを
ここに追認します