別々の時間
見崎 光

なぜだか
ほんの少しだけ
淋しいのは
どうしてなのでしょう


綺麗な夜景は
思いのほか冷たくて
なぜだか
妙に泣きたくなるのです


悲しい出来事など
捉えてはいないのに
風穴と呼ぶには
おこがましいほどの無を
今夜はどうも
持て余しているようです


瞼を閉じて
天地の光を受け止める
季節を運ぶ漂いに
この身を投げ打っても
肌の掠めぬ空っ風は
ただ通り過ぎるばかりです


ねぇ
あなた


愛とは淋しいものですね
ネオンがこんなにも
涙を誘うものだと
初めて知りました



もっともっと
愛してください
もっともっともっと
泣かせてください
温かい涙なら
あなたへの想いなら
惜しむことなど致しません




独りよがりな淋しさを
今宵の瞬きに重ねて
ささやかな口づけを
贈りましょう






自由詩 別々の時間 Copyright 見崎 光 2007-11-09 22:47:05
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