青い薔薇
刑部憲暁



長く 細い
透き通った階段を
降りていった

さっきまで
長く 長く 昇ってきたのに
今は 降りなければいけない

どうしてなのか
分からない

見上げると 青空が
ぽっかりと 宙に浮かび
透明な階段が
中ほどに消えている

あれが わたしの
お母さん
でも わたしは
あそこまで昇れなかった
なぜだろう

長い道を辿り
花園に降り立つ
ずっと昔に
居たところだ

花々の間に分け入り
青い薔薇の花びらをかき分け
花心に潜り込む刹那
もう一度だけ
空を見上げた
青空は小さくしぼんで
消えようとしていた

さようなら
お母さん
わたしは
花心の底に入ります
永い眠りにつくために


自由詩 青い薔薇 Copyright 刑部憲暁 2007-11-09 21:56:52
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