レイン
大覚アキラ

不安定な水面のように
流れていくテールランプの赤を
ゆらゆらと滲ませる
十一月の濡れたアスファルト

落ちた花びらが流され
下水道に呑みこまれていく

この都市の中には
すでにどこにも森などないので
行き場を失った精霊たちは
乗り捨てられた自転車に憑依して
じっと息を潜めている

花びらが海に着くのは
今年も終わる頃だろうか


自由詩 レイン Copyright 大覚アキラ 2007-11-06 13:29:23
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