午後の水平線
銀猫


海を見ている

さくり、さくり、
音をたてる足元の砂に
こころ揺らがぬよう
爪のかたちが付くほどに
手のひらを握り

海を見ている

潮騒に混じって
耳に届く声の在りかを
手繰りながら

海を見ている

波に反射する無数の夢が
ありふれた青色で染まらぬように
祈りに似て
或いは
遠い子守唄に似て
繰り返す言葉は
ただ
水平線を目指す

いつか
海とわたしは重なって
無数の波になり
浜辺に僅かな煌めきを残す

(今日は永遠の始まり)

風が生まれる




自由詩 午後の水平線 Copyright 銀猫 2007-11-05 23:12:55
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