やわらかく毛穴がひらき世界が
モリマサ公

自分自身という言葉の群れが後頭部から溢れ側頭部をなぜて前頭葉のひかりをあびている
フルに満載の瓦礫の山がくずれそうだ
カーブする轍
傾く我々で
ゼロにたちきることができず
目をとじてするスローターハウスへの疾走
ハミングでぶれていく視界
輪郭のにじみそうなソウルとボディー
パーカーとジャージのなかにつめこみ鍵穴にキーをさしこみ
まわりはじめる伽藍
俯瞰する肉体
親しみぶかい風景が砂漠なテクスチャーの上
ミラーボールみたくまわる
ばかみたいに紙くずが舞う
昨日からあるぼろぞうきんがぬれたまま永遠にかわかないかのようだ
明滅するふるぼけた皮膚をまとい
吊り広告を張り替える仕事に終止する今日
同じいろをくりかえさない空色がガラス窓にうつろう
くりかえすメッセジ
見つけられぬ分身さがす群衆
メロディアスなホームでバランスをたもつ
出発がながれるスピーカーのリズムで群れをなして改札ぬける
死んでった人のたましい
ネオン
プレミアム
サーガ
さまよい東京をあふれさせて
はんがわきの洗濯物をゆらす
季節が地図をたどり北上し
外見と内面のギャップでそろう流行のように
流れ
我々が共感で体験をつなぎとめリアルとする
ピースサインを掲げゲップする家畜がググル意味が翳る
コークを吸うサバイバーがエスケープするカイトみたくそれぞれの人生から消え
ストレートが湯気をたてて空腹ですするスープの染み込んでゆく場所が裏返る
愛情がだだすべる床の上で
サメ肌の赤ん坊が無邪気をよそおう
オーバーにつつまれジョーカーをポッケにつっこんで
有刺鉄線のむこうに落雷
世界
起きろ
みぞれるはいいろ曇りの下地面がふくれあがり
やわらかく毛穴がひらき世界が
うまれる

 


自由詩 やわらかく毛穴がひらき世界が Copyright モリマサ公 2007-11-05 16:51:59
notebook Home