「チョコレート」
菊尾


子供色に笑う
頭の後ろ側で鳴るのは海
煙草の似合う指先
済ませたのは過去の清算
這うような空

呟いてばかりの二人
静かな場所が好き
観覧車の窓を君が曇らせる
またと無い時間
窓に書いた言葉が消える前に
くちづけをした

掬い上げたら指の隙間を流れ落ちてしまう
溶け込んで満たす深い液体
残すことなく全部君に注ぐから
もう少しそばに居て


伸びた爪で髪を梳くクセ
組み替える脚
多分少ないぐらいがちょうどいい
濃度は薄めで掠る程度で
求める理由はそうやって生まれて行くから

チョコレートが溶け切る前
幾つ僕らは思い出せるだろう
これからの中で体温は何度も触れ合いながら
心は螺旋状に縺れて行くのでしょう

甘い味
黒い舌と厚い口唇
君のチョコレートは
僕の口の中


自由詩 「チョコレート」 Copyright 菊尾 2007-11-04 20:27:56
notebook Home 戻る