やがてかたちを変えるもの
ku-mi

この歌の横顔にあなたがいなくてよかった

坂の上にぽっかりあいた空は遠くて
青くない方がいい気がした
降ってくる光が指先を透過して
平面なわたしが散らばり始める

透明になれなかった二人
今はすこし、あの頃よりも髪が伸びた

このからだから
水が欠けていくよりも早く
路上が乾いた午後を
ジャスミンのやさしい香りが包んでる

重ならない記憶はきっと
あの人のところにも増え始めてきて
置き場がなくなれば
無駄なものはやがて消えていく

口ずさめなかった英語の歌詞
ハイウエィを走りぬけながら
幼い頃の話をした横顔

わたしは今、この歌が好きで
それをあなたに告げることはないけれど。


自由詩 やがてかたちを変えるもの Copyright ku-mi 2007-11-04 14:46:59
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