君じゃ駄目だと彼は言わない
みへき渉

彼は、何も言わずにあたしを抱きしめた。
そうして、深く息を吐くと
うんと小さな声で、あたしの名前を呼んだ。

あたしは彼の頭をそっと撫ぜて
愛してるよ、と告げた。

あたしには、彼が望むことはなんだってわかる。
だって、あたし達は似たもの同士だから。


だからわかる。
彼が、あたしを傷つけられないことも
あたし達が寄り添っても、決して幸せになれないことも。


未詩・独白 君じゃ駄目だと彼は言わない Copyright みへき渉 2007-11-02 16:01:43
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