旺盛
ヨルノテガム




きょうは一面迷いなく
綺麗なくもり空であった




うどん、

そうそう、そんな丸みとつやのある色の
たたずまいである

それでも細かなダシ汁は
落ちてくる

傘の椀は用意すべきかどうか

わたしのペンは予備と合わせて箸となる
川の水はなみなみとダシ汁は流るる

通過電車をつまみ上げて すすり噛めば
これはなかなかコシがあってよろしい
普通の各停電車ではこうはいくまい
大木をきざんでネギにする

女の横顔は薄いカマボコに見える
男の正面顔はお揚げ顔がうまそうだ
薬味は人間の欲の表れた装飾を混ぜると
案外それらしく効くであろう

ダシ汁が街をなめていく

湯気らしいものは何一つ立ちのぼっていないのであるが

どの建物を食べても

どの街人を口に入れても

火傷するほど 熱かった















自由詩 旺盛 Copyright ヨルノテガム 2007-11-01 22:33:45
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