あんなに悲しかったのに
mac

またあなたを思い出すね

普段はつい忘れがちで
ああ、あんなに悲しかったのに
人間って残酷なほどに
何もかも想い出にしてしまうんだね

みんなが
忘れてしまえ
と言ってた時には

忘れてしまうぐらいなら
未来の私など要らないと
思っていたのに

もうこうして地面にしっかりと
足をつけて生きている

少し寒い季節になると
それでも誰かの背中に
あなたを見たりすることがあるけど

そんなはずはないから

未来の私はあなたから見て
どうですか

あなたがいた頃よりは
すごく歳をとって
笑っちゃうほど逞しくて

別人のようだけれど

それでも
澄んだ空に
細い枝に
落し物の手袋に

私はまた
あなたを思い出す

ああ、あんなに悲しかったのに
今日も私は元気です


自由詩 あんなに悲しかったのに Copyright mac 2007-10-30 13:08:29
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