ring
LEO
しずかに秋は
しずかに染みて
紅柄色に染まった桜葉が
夕闇の風に揺れ落ちて
歩む速さで声を聞く
かさこそ、かさこそ、
いつかは土に還ろうと
囁きあって
紫、薄紅、白、青藍
雨に詠った紫陽花も
かたちを残し色褪せて
移り気だった面影を
閉じて仕舞った傘の内
主のいない蜘蛛の巣の
端に絡まり黒アゲハ
片羽だけでも思わせて
逃げ水の先に消えた
葵の夏を
深まるにつれ
無口になってゆく秋の日毎に
書き記す言葉もないけれど
すこしの名残りを見つけては
心にとめる
いつかふたたび
華やぐ日が廻りくると知りつつも