ring
LEO

しずかに秋は
しずかに染みて


紅柄色に染まった桜葉が
夕闇の風に揺れ落ちて
歩む速さで声を聞く
かさこそ、かさこそ、
いつかは土に還ろうと
囁きあって

紫、薄紅、白、青藍
雨に詠った紫陽花も
かたちを残し色褪せて
移り気だった面影を
閉じて仕舞った傘の内

主のいない蜘蛛の巣の
端に絡まり黒アゲハ
片羽だけでも思わせて
逃げ水の先に消えた
葵の夏を


深まるにつれ
無口になってゆく秋の日毎に
書き記す言葉もないけれど
すこしの名残りを見つけては
心にとめる


いつかふたたび
華やぐ日が廻りくると知りつつも


自由詩 ring Copyright LEO 2007-10-30 00:16:15
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