十三夜に曇り無し
北大路京介








「あたし禁煙することにしたんだ」
そんなこと言ってなかった?

 ちょうど去年の今頃 僕の失恋直後に
 熱帯魚の水槽みたいな喫茶店の中で

遠くの席で若い男女が
いちゃついてて 君が不機嫌で

 その女に他に好きな男がいることを
 その男にも他に好きな男がいることを


   凍った虹を砕いて 君の口に放り込もう
   ニャンコの舌でも ほろ苦いエスプレッソが飲めるよ

   紫の息を吐いて 楽しいコントの続きをしよう
   「月を見上げよう」 それだけで 仲直りできるよ




クチビルが寂しいのですか?
Kissの魔法 君に効かないし

 僕らの楽園にチョットした刺激が必要か
 永遠に生き続けるために何かいるかもね

君の好きな人魚がいたでしょ
海に帰りたがってるらしい

 もう どこもかしこも たいへん汚れてしまっていて
 戻れないから うちの浴槽で今日も泣いている


   天使の羽を拾って 団扇でも作りだそう
   上手に使えば 少しぐらいは 雲を掴めそうだよ

   無気力な朝も夜も ふたりは近くに居よう
   言葉も要らない 触れずにいても良い 安心させてあげるよ



  空と海の境目の どこかに ぜったい
  僕は隠れてるから さがしだして みつけてちょうだい




   凍った虹を砕いて 君の口に放り込もう
   ニャンコの舌でも ほろ苦いエスプレッソが飲めるよ

   紫の息を吐いて 楽しいコントの続きをしよう
   「月を見上げよう」 それだけで 仲直りできるよ


   天使の羽を拾って 団扇でも作りだそう
   上手に使えば 少しぐらいは 雲を掴めそうだよ

   無気力な朝も夜も ふたりは近くに居よう
   言葉も要らない 触れずにいても良い 安心させてあげるよ













自由詩 十三夜に曇り無し Copyright 北大路京介 2007-10-29 19:40:10
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