池中茉莉花

ふと嘘が
口からこぼれた

あ、いけないと
拾おうとした
その手を
かずみがふんづけた



あれは、小学校3年生のときだったね

兄弟が欲しかったんだよ
ただ
それだけだったんだ

「兄弟がいる」と
いってみた

調子に乗って
3人のいもうとと
2人のおとうとを
作り上げた

でも
みんながうちにくるって
言ったから

その子たちを
みんな殺した


ちっちゃな嘘が
大きくなって
いつまでもわたしに
つきまとった

高校を卒業するまで

「こんど お線香をあげに 行くからね」と


それでも
わたしの嘘は
限りなく
こぼれつづけて

こぼれて
こぼれて

落ちたしずくが
本当になった


「病気」という嘘だけが


自由詩Copyright 池中茉莉花 2007-10-28 23:30:09
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