tomtom_poem

幼女を連れて
遠回りをして
橋を渡る
大雨で増水した川面は
ぐろぐろと濁っていた。
どす黒い鯉が2〜3匹
口をむやみに開け
潜ったり浮いたり
眼球を妖しい口に
吸い込まれる直前
気で引きはなし
強引に歩きだすことに成功した。
が、
後方で、
幼女が叫ぶ
 あ、おさかながおよいでいる
渡り終えるやいなや
 おさかなさん、こんにちは

慌ててふり返ると、
邪気のない玉の緒はすでに
大口に呑みこまれていたのだった。



自由詩Copyright tomtom_poem 2007-10-27 23:21:25
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