無題




なんにでも 
祈るのが癖だった
タンスの模様や 道端の石ころ
毎日
自分だけのかみさまに

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壁には
サンリオのキャラクターが貼られている
小さなわたしがひとりで眠るとき
心細くならないように
 
だけど眠れずに
一晩中そのシールを見つめていた

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何が食べたい?と聞かれたので
記憶が食べたい、と答える

いつもいつも
記憶に溺れている

見つけることを忘れて
探してばかりいる

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テレビが好きだった
いつも賑やかだから
見なくても必ずつけた

テレビを換気扇のように
思っていた

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今日は
体調が悪い
気分は サイテーだ
ただ体調が悪いことのいいところは
それがどんな理由にもなるところだ

今日は何も考えられない
思いもよらない
        

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ブランコの上では
自由に届きそうだった
無茶な乗り方をして
飛んで行ってしまいそうだった

90度近くまで漕いだ時
空しか見えなくなる一瞬が好きだった


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雨が降っている
死ぬ、という言葉を使うと
死期が早まるかのようなニュアンスで
怒られる

都合よく
今日だけ消えたい


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かみさまは
留守だったんだよ

あの日も
あの日も

本当は口で言うほど
毎日は嫌じゃないんだ
案外楽しいし
なんとかなっている

だからかみさまは悪くない









自由詩 無題 Copyright  2007-10-27 13:57:31
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