創書日和「酒」 fiction
山中 烏流

 
 
 
 
 
 
左目を飛ぶ小さな蝶は、私を影だと呼んだ。光は誰か。
 
 
 
漂いを続ける街灯の欠片は、いつもの空にただ沈んでる。
 
 
 
波打つのは私の足か、もしかして地球だろうか。宇宙だろうか。
 
 
 
右の手のひらで遊んだ星屑が、私の影を更に落として。
 
 
 
吐く息が、オーロラ色に光るのを私以外の誰も知らない。
 
 
 
午前二時、迎えの来ないバス停で誰かの影をまだ待っていた。
 
 
 
揺らめきがフィクションならどんなにいいか。呟きは風に拐われつつ。
 
 
 
裸足の先から伝わる温度だけ、酔いのせいだと言い聞かせてる。
 
 
 
世界が止まるような気がしていると思ったことを、忘れないよう。
 
 
 
 
 
 


短歌 創書日和「酒」 fiction Copyright 山中 烏流 2007-10-26 23:17:28
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