壁
リーフレイン
部屋の白い壁に虫の卵が無数に生みつけられている。
卵は、こげ茶と灰色の縞模様のふわふわの米粒状で、9つずつ規則正しく円形を作っている。一面に散り、つぶれたような虫のしたたった跡もある。厭わしさに背筋が震える。ひとつ触ってみると、やわらかくて、異臭が漂う。いったいなにが孵化するのかしらないが、これだけの数の卵からなにものかが生まれ出たところを想像すると吐き気がした。
少女が一人現れ、口を引き結んで石を壁に投げつけ始めた。孵化する前につぶしてしまいたいのだ。 もう一人少女が現れ、笑いながらつぶしはじめた。楽しんでいるのがわかる。 さらに一人現れ、泣きながらワラっている少女を殴ってとめる。また一人の少女が現れ、潰れた卵を分解しはじめた。何が孵化するのか知りたいらしい。 壁に雑巾がけを始める少女。 「今から産れるのは天使の蝶だから、殺してはいけない」とみなにアジテーションする少女。 部屋にはうじゃうじゃと少女たちの群れが出現する。それぞれに泣きわめき、笑いながら虫にまとわりつき、いつしか彼女達の背中に羽がはえ、飛んでいってしまった。
後に残る白い壁。