メランコリー・ハニー。
菊池ナントカ
このままどっか持ってかれそう。
地下鉄の音はお喋りには向かないわね。
真実なんて知りたくなかった。
大体の見当だなんてついてたんだ。
このまま幽霊になりたい。
生きるって、そもそもどういう感じだったっけ。
家の冷蔵庫にあるトマトを全部握り潰した。
害虫は私ただ一人。
トマトは青臭い匂いを撒き散らし種を見せ付けていた。
「まったく困るんだよなぁ、誰が後片付けすると思ってんだよ。」
生涯かけて二度とココアを飲まない。
蒲田を歩かない。
私の子宮の後片付けもアンタがしてよ。
アパート隣室からアバズレ好みの音楽が鳴り止まない。
鳴り止まない。
薬の量だけ異様に増えてゆきますが先生、コレで私は本当に治るんですか?
薬を含むと涙が出ていく。
メランコリー・ハニー。
チョコレートをヒトカケラ口に入れようとして止めた。
人間は人間でしょう。
それ以下でもそれ以上でも無いくせに。
品川駅乗り換え口で永遠に待ってろ。
全ての図書館が放火されますように。
パソコンとプリンターを所持している人間が皆呪われますように。
半分本気で半分冗談で夢うつつ考えた。
世界がハローワークで一杯になりますように。
メランコリー・ハニー。
私の子宮の後片付けもアンタがしてよ。
夢幻の夢を見せて殺してやるわ。