少し大きな動物
たもつ

少し大きな動物が
足元に横たわってる
景色にあるどの線にも
斜めになって
昨日からの続きのように
滑らかな呼吸をしている
その鼻先から
しばらく行ったところを
とうがらし売りの少女が
乾季の土ぼこりの中
歩いていく
川の方では大規模な橋梁の工事が
すでに始まっていて
橋がかかれば
街が近くなる
病院が近くなる
そしていくつかの死は回避され
いくつかの死は
死としての意味しか持たなくなる
動物が欠伸をする
その姿は大切なものの名を
呼んでいるようにも見えたが
初めから大切なものに
名前などあるはずもない
 


自由詩 少し大きな動物 Copyright たもつ 2007-10-23 20:11:53
notebook Home 戻る