[18歳]
東雲 李葉

人の角度から自分を見る。可笑しくって少し直す。
鏡よりも他人を見ている。必要なのは真実さえも覆う表皮。
日記を書く日が減った。飛び飛びになる記憶と言葉。
手を繋ぐことが無くなった。今は離れていくものばかり。
掴まえる指を忘れそうでただ闇雲に手を伸ばすけど、
容易く手に入るものはいつだって容易く壊れてしまう。
些細な仕草も言葉のあやもそこから亀裂は広がっていく。

人生を花に例えるなら僕らはようやく膨らみ始めた蕾の頃。
青くて未熟なその中で未来は作られているのだろうか?

漠然とした先への不安に僕は堅く口を閉ざす。
希望を声にしていいのは夢を見られる年頃まで。
不意に肩を抱かれると情けなくも涙が滲む。
「もういいよ」と言われた様で余計に前へ進みたくなる。
希望は無い。だが、まだ本当の絶望を知らない。
可能性はもう生まれない。だから、今あるもので生きていかねば。
もうすぐ好き勝手ばかり言えなくなる。僕はもうすぐ大人になる。

僕は「僕」と名乗れなくなる。蕾が開いて女になる。
僕はもうすぐ大人になる。作られた未来に従わなくてはいけなくなる。

もうすぐ、もう時間が無い。

茎が伸びる。蕾は色付く。陽射しは眩しく時を促す。
花弁が開けば僕は、僕は、



僕は誰になるのだろう…?


自由詩 [18歳] Copyright 東雲 李葉 2007-10-23 15:23:39
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