冬になれば野たれ死ぬだけのキリギリス
AB(なかほど)


たいしたことじゃない
季節の変わり目に強がって
いつも風邪をひいてしまう
そんなもの
僕が消えた夜は
あの人はなんて優しかったんだろう
なんて泣き屋は呼ばなくてもいい
きりぎりす
きりぎりすきりぎりす
ふたりの
いや
たぶんひとりのきりぎりす
冷蔵庫の裏で乾いてゆきながらも
鳴き続けた日々のように
僕らの明日はどっかにつながってるんだ
さよなら
なんて言うもんか
って
鳴きつづけて
ぱたりと
絵本が倒れるように




fromAB


自由詩 冬になれば野たれ死ぬだけのキリギリス Copyright AB(なかほど) 2007-10-22 18:18:05
notebook Home 戻る